レゴグループのサステナブル (持続可能性)関連の取り組みは3つの柱で構成されています。
本記事は2番目の環境に特化した内容です。
- Children (子供)
- Environment (環境) ←ココ
- People (人々)
興味がある人はいるはずなのに、残念ながら日本語訳がありません。
おまけに何度読んでも全体像がよく掴めませんでした・・・。
ということで調べてまとめました。
※公式サイトの英語情報に加え、プレスリリース、特集記事、同社発表の年次報告書も確認済みです
結論
取り組みを一言でまとめるなら、2030年までに持続可能な素材で製造し、今後も廃棄物を出さない。
レゴグループは、2050年カーボンニュートラルという世界共通の目標(パリ協定)に沿ってサステナブルな取り組みを推進しています。
本記事では、素材とプロセスに分類しました。
そして、2つのキーワードが背景にあります。
- カーボンニュートラル:温暖化を回避するためにCO2を削減すること
- サーキュラーエコノミー(循環経済):資源の消費を最小化しつつ経済成長すること
素材に関する取り組み
レゴグループは2030年までに全ブロックを「持続可能な素材」で製造することを目標としています。
一口にブロックと言っても20種類以上の素材を使っているようで、1つの新素材で全てを代用するのは非現実的。
ということで、2015年ごろにサステナブルマテリアルセンターという施設が新設。
150名以上の専門家が持続可能な製品やパッケージを作るための研究をしています。
再生可能な素材
持続可能な素材は、再生可能な素材とリサイクル素材に分かれます。
再生可能な素材とは、ブラジルのサトウキビから抽出したバイオPE(バイオポリエチレン)のこと。
子供の安全面を考慮して分解性はない(食べられない)ような設計になっているそう。
既にミニフィグアクセサリーを含めた200のパーツがバイオPEで作られているようです。
2018年にbio-PEの40320 植物由来植物というセットが発売された。(高い!)
ただ、耐久性や安全性、製造コスト面で課題が多く、メインの代替素材にはなり得ない可能性があります。
リサイクル素材
リサイクル素材とはペットボトルのPET(ポリエチレンテレフタラート)のこと。
2030年までに製品化を目指していて、プロトタイプブロックでテスト中。
こちらの素材の方が現実的ということでしょうか。
1つのペットボトルで2×4のブロックが10個作れるらしいです。
現在は色付けの研究・テストフェーズで、通過したら大規模生産に向けて動くそう。
※ペットボトルの寄付は受け付けていない
いずれにせよ、従来のブロックと同様の品質を求められるので難しい挑戦です。
ここからは中身ではなく、パッケージの話に移ります。
パッケージの再利用
公式HPでは、2025年末までに全ての包装をより持続可能なものにする旨宣言されています。
プラスチックから紙に移行するということですね。アイテム毎に見ていきます。
ショッピングバッグ(レジ袋)
2020年に、世界中500のレゴストアでのビニール袋の段階的廃止を開始。
以降FSC C117818 素材で作られた紙袋に徐々に置き換えられている。
箱
既にレゴセットの箱のうち75パーセントがリサイクルされた材料 (段ボール PAP20 または非段ボール PAP21) で作られています。
箱の中の小袋
パーツが入っている透明のプラスチック袋のことですね。
今後3年間で、使い捨て素材から紙袋への段階的に切り替わります。
なので、箱を開けたらプラスチック袋と紙袋の両方が入っている可能性もあるとのこと。
2022年には紙袋が入った箱が初めてヨーロッパ市場に投入されたようです。
ブリスターパック
ブリスターパックとは中身が見える使い捨てパッケージで、すでに生産終了。
紙製の台紙にプラスチック製の膨らみが特徴。
ブリスター(Blister)とは英語で水ぶくれの意味。プラスチック製の容器が製品を包んで水ぶくれのように見えることから。
基礎板のパッケージ
クラシックでお馴染みのベースプレート。
元は使い捨てプラスチック包装でしたが、段階的に廃止。
新しい素材は紙製 (内側に薄いプラスチックコーティング)。
2023年3月、トイザらスに確認しにいきました。
もう変わっていました!
以上が素材に関する取り組みでした。
プロセスに関する取り組み
レゴグループは環境に優しい素材を使うだけではなく、製造工程もサスティナブル。
カーボンニュートラルな製造
レゴは製造と販売に関わる工場、オフィス、店舗、サプライチェーン全体による二酸化炭素 (CO2) 排出量を削減を目指している。
目指しているだけではなく、2022年には達成しています。
具体的な取り組みは以下の通り。
- イギリスとドイツに世界最大タービンを100基以上建設
- 風力発電で生産活動に必要な総量を超えるエネルギーを調達
- ソーラーパネルも全工場に設置
- 製造中の冷却プロセスで外気を利用する新しいシステムを導入
- 5トンのリサイクルブロックでレゴキャンパスという関連施設を建設
- アメリカ(2025年)とベトナムの工場(2024年)を廃棄物ゼロで建設・運営する
- 5万本の植林:ベトナム工場を建てるために2万5000本伐採したので倍植える
- 多分他にもある
自社だけではなくサプライヤーやパートナー企業にも廃棄物ゼロ(ゼロウェイスト)を遵守してもらう仕組みを回しています。
例:Engage-to-Reduce program、Responsible Business Principles
ここでの廃棄物とは最終処分=埋め立てを意味しています。
LEGO Replay
ここまではこれから作るブロックに関してでした。
既に製造されている(持続可能ではないもの含む)ブロックを無駄にせず循環させる仕組みがLEGO Replay。
アメリカとカナダで実施されている、子供たちのためにレゴの寄付ができる仕組みです。
今後拡大予定のようです。詳しくはこちらの記事にまとめました。
同イニシアチブはサーキュラーエコノミー(循環経済)という概念に沿っており、パートナーと共に取り組んでいます。
サーキュラーエコノミーに関するレゴの動画がわかりやすかったのでご紹介します。
英語ですがアニメーションだけみても楽しくて、結構伝わります。
パートナーとの協力
LEGOグループは世界の環境課題を解決すべく、パートナーとも協力しています。
エレンマッカーサー財団ネットワーク:サーキュラーエコノミーを推進するイギリスの組織
WWF(世界自然保護基金):約100カ国で活動している環境保全団体
前者とはBuild the Changeというプログラムで7-12歳の子供達への教育を広めています。
学校の先生たちがダウンロードして教室で使える資料もあるようです(英語)。
後者とはクライメート・セイバーズ・プログラムで提携しています。
これはCO2の削減目標を達成すべく、WWFと第三者機関による検証を受けるプログラムです。
まとめ
レゴグループの環境への取り組みをまとめます。
- 2050年カーボンニュートラルがベースになっている
- 2030年までに全てのブロックを持続可能な素材に移行(再生可能とリサイクル素材)
- 2025年までに全てのパッケージをより持続可能なものに移行(脱プラ>紙へ)
- 2022年時点で既に埋立地への廃棄物ゼロ達成
- サーキュラーエコノミーの推進
私は、娘が生まれてから綺麗事ではなく、地球の未来を意識するようになりました。
ただ、プラスチックという点が少し引っかかっていました。
知り合いにもプラスチック製品は極力避けているから・・・って人も。
しかし、取り組みを知れば見方が変わるかも知れない、と今回思いました。
世界で愛されるブランドたる理由がまた1つわかった気がします。
より詳しく知りたい方はサスティナブル関連のまとめ、レポートをご覧ください(英語)。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
それでは楽しいレゴライフを!